鬱気味サラリーマンの映画レビュー

うつ病などの精神病歴を有する福岡県のサラリーマン。癒しを求めて鑑賞した新作、旧作映画の自己満足レビュー。というより感想。映画以外のことも徒然書きたいです

ボーダーライン・ソルジャーズデイ

個人的評価: 4.5/5
ひとこと: 骨太しびれる

💫目次
⓵こんな映画
⓶あらすじ、ネタバレなし
⓷ポイント、ネタバレあり
⓸まとめ



⓵こんな映画

アメリカ政府と麻薬カルテルの攻防を描いた2015年の「ボーダーライン」の続編。2018年公開。
前作では、SF大作の「メッセージ」や「ブレードランナー2049」で知られるドゥニ監督がメガホンを取っていましたが、ステファン・ソリマという監督に交代。脚本は変わらず、テイラー・シェリダン
キャストは、前作からベニチオ・デル・トロジョシュ・ブローリンが続投。主演を務めていたエミリー・ブラントは残念ながら、出ておりません。

⓶あらすじ
アメリカ・カンザスシティの商業施設で自爆テロが発生する。
米政府は、自爆犯がメキシコの麻薬カルテルから支援を受けて密入国したと判断し、CIAのマット(ジョシュ)にカルテルを殲滅する極秘任務を与える。
マットは、カルテルの親玉レイエスの16歳の娘イザベルを拉致し、対立するカルテルの仕業に見せかけて、カルテル同士の抗争を引き起こそうと計画。
助っ人として、カルテルに家族を惨殺され、復讐に燃えるコロンビアの元検事アレハンドロ(デルトロ)を雇う。
マットたちは計画通り、イザベルの誘拐に成功。米国内で救出したように工作してメキシコに連れ帰ろうとするが、協力をとりつけたメキシコ連邦警察の裏切りにあい、襲撃を受ける。
銃撃戦のさなか、イザベルが逃走し、アレハンドロがひとり、チームを離脱して行方を追う。
銃撃戦は大きなニュースになり、関与の発覚を恐れた大統領は、作戦中止を決定。米国に戻ったマットは、上官から、作戦の口封じのため、アレハンドロとイザベルの抹殺を命じられる。

⓷ポイント

⭐️緊迫シーンの連続!

前作は、緊迫した展開、派手さはないけど生々しくてカッコいい戦闘描写にゾクゾクさせられました。
パート1が名作だっただけに、クオリティ落ちないといいなぁと思って観ましたが、私の杞憂でした。
期待以上でした。

のっけから、国境警備隊に追い込まれた密入国者が自爆したり、命乞いをする親子の前で犯人が自爆テロを決行したりと、むごいシーンが続きます。

砂漠での銃撃戦、マフィアとCIAから追われるアレハンドロとイザベルの絶体絶命の逃避行。

どの見せ場も、ちょっとずつ予想を外してきながら、物語がすすみます。

だからこそ、思うままにいかない現実のリアル感を感じさせるのでしょう。

⭐️どこからが、ボーダーなのか

本作のキャッチコピーは、このルール無き戦いに、終わりはあるのか。

テロ殲滅の大義のもとに、政府が規則おかまいなしの殺戮や偽装工作を繰り広げていく展開は、

正義と悪の境界がどこにあるのかと考えさせられます。

しかも、自爆犯は実は自国民でした、カルテル関係ありませんでした、というなんともお粗末なオチ。

失敗しても、臭いものには蓋をして、不都合なものは消し去ろうとする。

強いけど、浅ましくて悲しい国として、アメリカが描かれていると思います。


序盤に印象的なシーンがありました。
任務を命じた長官が、テロの定義について、

政治的な目的を達成するために暴力を利用する個人と団体のことだ

と語るのですが、

独りよがりな正義を掲げて戦争や暗殺を仕掛けるアメリカはどこが違うの?

というアイロニーが込められてるように感じました。




⭐️俳優陣の骨太がかっこいい

そんな汚い世界観の中でも、マットとアレハンドロは、組織のいいなりにならす、
自分の信念や哲学を貫き通す骨太な男として描かれます。

まあ、それでも殺し屋であることにかわりないですが。

マフィアに妻子を殺され、心に深い傷を負うアレハンドロ。
虫けらのようにマフィアを殺す冷酷無比さと、イザベル殺害の命令を頑なに拒み、守り抜くギャップに痺れます。

その意思を継ぎ、上官の命令に反してイザベルを救出するマットにも男気を感じます。
組織に負けない、強さに憧れます。

⭐️マフィアの娘

イザベル役を演じたイザベラ・モナーは、まだ十代のあどけなさはありますが、星を詰め込んだようなキラキラした瞳と端正な顔立ちが魅力的。
周りの大御所たちに劣らない存在感でした。



⓸まとめ

この映画でしか出会えない出来事がたくさん起こります。
骨太なクライムアクションがお好みなら、間違いなくオススメです。