夫のちんぽが入らない(連ドラ)
夫のちんぽが入らない
個人的評価 4/5
映画じゃないですが。
最近、友人に勧められてネットフリックスに登録しました。
ここ数日、コンテンツをあさる中で、
一番、期待値を超えてきました。
原作は、主婦「こだま」さんの実体験に基づいた私小説。
タイトルそのまんまの悩みを抱えた夫婦がどん底を経験し、再生する愛の物語です。
1話40分くらいの10話完結で、割とサクッと観られます。
あらすじ
大学進学のため、ド田舎から都会に出てきた久美子は、
同じボロアパートの住人で、教育学部の先輩として世話を焼いてくれる研一と付き合うことになります。
そして初夜を迎えますが、研一のアレが入りません。
はじめは二人とも「そのうち入るやろー」と前向きでしたが、
なんど頑張っても、入らない。
仕方ないので、オーラルな方法でごまかすしかありませんでした。
セックス以外は相性抜群、交際は順調でも、久美子の心の中で、「入らない私は不良品なのか」というモヤモヤがくすぶります。
先に大学を卒業した研一は、山梨県で高校教師になり、久美子にプロポーズします。
久美子は、「まだ入ってもないんですけど」と戸惑いつつ、好きなのでオーケーし、
研一の後を追って、山梨県で小学校教諭になります。
晴れて結婚した二人ですが、相変わらず、「入らない」状況はかわりません。
二人にとって、たった一つと言ってもいい、二人の結婚生活を徐々にむしばみ始めます。
研一は、頑張ってもうまくいかないセックスに疲れ、久美子に内緒で風俗に通うようになります。
それに気づいた久美子は、研一の苦悩を思いやって見て見ぬふりをしますが、深く傷つきます。
職場でも学級崩壊のストレスにさらされ、自暴自棄になった久美子はある日、ネットで知り合った男性と一線を越えてしまいます。
夫以外ならあっさり入ってしまったことにさらに傷ついた久美子は、見ず知らずの男たちと次々に身体だけの関係を重ねる堕落した生活を送るようになります。
一方の研一も、昔のように笑わなくなった久美子の変化を感じ、苦しんでいました。
預金を使い果たし、ローンに手を出して風俗嬢とセックスする最中、「妻を幸せにしてやれない」と男泣きします。
どん底の時期を経験した二人は、子供がほしいと考えるようになります。セックスせずに子供を作る方法も模索しますが、最終的には子供を作らず、二人だけで寄り添って生きていく道を選びます。
感想、見どころ
5話くらいから急激に、痛々しくなります。
それまでが、ピュアで健気で、「セックスできなくても前向き」に頑張る2人がほっこりと描かれてるので、
途中から違うドラマになったんじゃないかという感覚。ギャップにちょっと、たじろぎました。
「入らない」まま交際から20年添い遂げるというのは
実話ながらちょっと特異なケースに思えますが
2人が堕落していくいきさつには、すごく共感を覚えました。
他人事とは思えないのは、やはり心の弱さや業に飲み込まれ、カッコ悪いところですね。
・「自分が不良品」に思える劣等感。自己肯定感の弱さ
・恵まれてるぶぶんもあるのに、隣の芝生は青く見えてしまう
・自尊心を守るため、言わないでいいことを言ってしまう
・「セックス=愛じゃない」「子供を作らないのは自分の遺伝子に確信が持てないから」と、屁理屈で自分にも他人にも言い訳し、強がっちゃう
・「妻も幸せにできない」と泣き、「実家に帰っていい?」のワードにドキッとする研一
でも、苦しみの先に光を見せてくれる物語です。
ラストの夫婦のやりとりが素敵でした。
「子供もいない、ちゃんと入らない。それでもわたしたち夫婦なんだよ」
「普通の夫婦より、すごいじゃん」
「だよね。。なんてこと言うのが、負け惜しみなのかな」
「負け惜しみでも、なんでもいいじゃん」
基本的にシリアスで笑える場面は少ないのですが、
第8話の久美子の夢のシーンだけはブラックユーモアがきいていて、シュールで笑えました。
あと、主演の石橋菜津美、中村蒼の2人の体当たりの演技がとてもよかったです。